普段本を読まない人にもオススメな南極サバイバルを描いたノンフィクション小説の紹介です。
タイトルは「エンデュアランス」。大体の人は聞き覚えのない題名なんじゃないかなと思います。
大雑把な内容を語ると、南極陸路横断に挑戦した探検隊が遭難して、一年半後に帰還するまでの苦難を描いた作品といったところでしょうか。
自分は元々サバイバル系のお話ならゲーム・漫画・小説と媒体を問わず大好きな人間なんで、まあ当然この作品は大好きなわけです。しかし、作品を読み切ったのはつい先日の話なんですよね。
自分のようにこれまでエンデュアランスを知らなかった人にエンデュアランスを知ってほしい!読んでほしい!といった勢いに任せての紹介ですが、本当に面白い小説なので出来れば途中まででもお付き合いください。
目次
探検隊員の日記とインタビューで作り上げた冒険記
この作品は創作ではなく実際に起きた出来事を元に書かれた小説です。
1914年12月5日に、南極陸路横断を目指して28人の乗組員を乗せた探索船・エンデュアランス号がサウスジョージア島を出発しました。探検隊のリーダーは過去にも南極の地を踏んだ経験ある冒険家・シャクルトン。
彼らの挑戦は現在から見て一世紀も昔の話です。もちろん冒険は極めて危険なもので、実際航海に失敗して遭難してしまった事実を見てもそれは明らかです。
この小説では彼らがおよそ一年半もの間、南極でどのようにして生き残ったのかを息遣いが聞こえるほどリアルに描いています。
そのリアリティは筆者が隊員ほぼ全員から話を聞き、手紙でやり取りをし、膨大な量の日記を読み込んだ末に滲み出たものです。
意外と楽しい?遭難生活
遭難物なのでひたすら苦しい話が続くように思えるかもしれませんが、小説内で描かれる隊員たちはほとんどが前向きに脱出を目指しています。
もはや船が沈没してしまうまでの期間は遭難が楽しそうに見えるほどですね。氷漬けになって動けない船の周りで犬ぞりレースをやったり、暖かい船室でクリスマスを祝ったりする様子は、どこか秘密基地で遊ぶ子供のようにも思えます。
そういったポジティブな雰囲気作りはリーダーであるシャクルトンが人間関係を色々考慮したりと苦労してなんとかしています。誰々は気性が荒いから自分の近くに置いておこうとか、誰々は誰々と相性が良いから一緒にしておこうとか……まるで中間管理職ですね(笑)
ちなみに本の煽りに「史上最強のリーダー」とありますけど、作中でのシャクルトンはそこまで万能なリーダーではありません。これは売り文句的な大げさな表現です。とは言え、シャクルトンは人一倍責任感の強い人物で、船員たちは彼を尊敬されていたんだろうな、というのは確かに読み取れました。
遭難中の食事が美味しそう
個人的に一番のポイントだと思うのが南極での食事です。特に作中で何度も登場するアザラシ肉のシチューについては興味が尽きません。アザラシ肉はイヌイットの主食だそうで、ビタミンも豊富でかなりイケそうなんですよね。帰還前の隊員たちはさすがに食いすぎてもう肉は嫌じゃ~って状態だったみたいですけど(笑)
他にもペンギン肉の味とか、小説後半で登場した犬用ペミカン不味そうとか……とにかく現在の日本では想像もつかない食事が多いです。
リアルで使える南極サバイバル術
自分はサバイバル術と言うと真っ先にベア・グリルスが思い浮かぶんですけど、エンデュアランスの作中でも南極を生き抜くための生存術がいくつも出てきます。
薪代わりにペンギンの皮を燃やすとか、ボートを引っ繰り返して簡易避難所にするとか、あと仕組みは細かく解説されていなかったんですが停泊用にアザラシの脂を溶かしておくとか……。(たぶん船に塗ったり海面に流すことで凍結を防止する?)
自分がリアルでサバイバル術を駆使する状況になることは99.9%無いと言い切れますが、こういったサバイバル術を知るのはとても楽しいです。
とにかくオススメ!
色々と書き連ねてきましたが、結局最後は直感で面白そうと思えるかどうかだと思います。
私は「エンデュアランス」について、あらすじと表紙を見て直感で面白そうだ!と思って買って、そのまま期待通りの内容で満足しています。
私のこの紹介を読んだ貴方にも、直感で面白そうだと思って頂けたら嬉しいです。とにかくオススメです!